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新改善基準の話・第25回 住所地での休息期間

これまで、拘束時間、休息期間、運転時間、連続運転時間と順に見てきました。
改善基準項目中の大物はひととおり片付いたんじゃないでしょうか(まだ分割休息の特例などが残っていますが)。
特にここ数回は小むずかしい話が続いたので、今回は力を抜いていきます。
テーマは「住所地での休息期間」。
現行の改善基準から変更ありません。
そしてシンプルです。

自動車運転者の住所地における休息期間がそれ以外の場所における休息期間より長くなるように努めるものとすること。(以下省略)新改善基準通達 第2の4の⑹)

引っかかるとしたら「住所地」というところでしょうか。

③ 「住所地」とは、現住所のみならず、その者の生活の本拠地も対象となります。(「改善基準告示(令和6年4月1日適用)に関するQ&A」「3-3」

とも書かれています。
「現住所」とか「生活の本拠地」といっても、その人が住んでいる家、住居をピンポイントで指しているわけではありません。
乗務員さんがちゃんと家に帰って休息期間を過ごしているか、その時間まで会社が管理するなんてことはもちろんできません。
「住所地」とは、その人の住居がある自治体というか地域一帯をぼんやりと広く指して言っているのでしょう。
その中には、その人の勤務先の所属営業所も含まれます。
「住所地における休息期間」とはそのドライバーが所属する営業所で退勤してからふたたび出勤するまでの時間(休息期間)で、その時間が出先ですごす休息期間よりも長くなるようにせよ、ということです。
九州などの長距離運行の運送会社では、週のはじめに関東や関西に出て1週間そちら方面で仕事をしたあと週末に地元に帰ってくる、という運行パターンも少なくないようです。
そういう会社でこのルールを守ろうとすると、週末の休暇をたっぷり長く取るとか、隔週で運行するとか、ちょっと実現がむずかしい選択を迫られることになりそうです。
でも、ご安心ください。
このルールの最後には「ように努めるものとする」と書かれています。
努力目標なのです。
守れなくてもただちにペナルティがあるわけではありません。
そして、そもそも、改善基準告示にも改善基準通達にも、このルールをチェックする期間が書かれていません。
どのタイムスパン(1週間、1ヵ月、1年など)で見たときに「自動車運転者の住所地における休息期間がそれ以外の場所における休息期間より長くなる」ようにすればよいのか、指定されていないのです。
努力目標でしかもチェック期間の指定も無いとなると、真剣に守ろうという気になりにくいし、監督する側もあつかいにくいところがあるのではないでしょうか。
というわけで、今回は地味でユルい「住所地での休息期間」のルールでした。