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新改善基準の話・第27回 予期し得ない事象への対応時間 その2

前回は「予期し得ない事象」の種類について書きました。
でも、「予期し得ない事象への対応時間」として認められるには、予期し得ない事象が発生してそれに対応した、というだけではダメなんです。
もう1つ重要な条件があって、それは事象が発生し対応したことの「客観的な記録」です。
今回はこれを取り上げます。
「客観的な記録」は2種類あって両方をそろえる必要があります。

 ⑴ 運転日報上の記録

 ⑵ 予期し得ない事象の発生を特定できる客観的な資料
1つずつ見ていきましょう。


⑴ 運転日報上の記録
運転日報に次の3点を追加して記録しておく必要があります。

・対応を行った場所
・予期し得ない事象に係る具体的事由
・当該事象への対応を開始し、及び終了した時刻や所要時間数
新改善基準通達 第2の4の⑺)

最初の「場所」と最後の「時刻や所要時間数」はわかるけど、「予期し得ない事象に係る具体的事由」って何でしょう?

「事由」を辞書で引くと「理由または原因となる事実」という意味が出ています。
「予期し得ない事象に係る具体的事由」とは「予期し得ない事象」の具体的な説明ということになりますね。
「予期し得ない事象」に a 車両故障b フェリー欠航c 道路封鎖・渋滞d 異常気象 の4種類があることは前回見たとおりです。
それぞれの「具体的事由」とは
  a ・・・ どの車両のどの箇所がいつどのように故障したのか
  b ・・・ 乗船予定だったのに欠航したフェリー便を特定する情報
  c ・・・ 封鎖または渋滞した道路の名称・箇所と日時および原因
  d ・・・ 異常気象に遭遇した日時・場所と異常気象の種類
といったことになるでしょう。
bcd の場合は、フェリーに乗ったり走行したりするはずだったのにできなかった本来の区間の場所(どこからどこまで)と時間(何時から何時まで)も書いておいた方がいいでしょう。
こういう情報を運転日報に記録しておきなさい、というのが です。


⑵ 予期し得ない事象の発生を特定できる客観的な資料
運転日報上に記録する上記のような内容とともに、ほんとうにその「予期し得ない事象」が発生したことの証拠として、「客観的な資料」を残しておく必要があります。
例として次のものが挙げられています。


a)修理会社等が発行する故障車両の修理明細書等
b)フェリー運航会社等のホームページに掲載されたフェリー欠航情報の写し
c)公益財団法人日本道路交通情報センター等のホームページに掲載された道路交通情報の写し(渋滞の日時・原因を特定できるもの)
d)気象庁のホームページ等に掲載された異常気象等に関する気象情報等の写し
改善基準通達 第2の4の⑺)

a)以外はどれもホームページ上の情報が例になっています。
こういう情報は時間が経つとホームページから消されてしまう可能性があるので、見たときにすぐ印刷したり PDF にしたりして保管しておく必要があります。
利用するフェリー運航会社、日本道路交通情報センター、気象庁の関連ページは、すぐに開けるようにブックマークしておくといいかもしれませんね。