今回はまずおわびと訂正です。
第26回 予期し得ない事象への対応時間 その1 のフェリー欠航への対応の説明の中で、こんなことを書きました。
フェリーの代わりに陸路で移動する場合、フェリー乗り場へ行く必要は無いので全然ちがうルートになることもあると思います。
そういう場合にどこからどこまでが「対応時間」として認めてもらえるのかは不明です。
本来のフェリー運航予定時間相当分だけ認められるのか、あるいは、実際に走行した陸路中でフェリー乗降地に一番近い地点同士のあいだの所要時間を取るのか。
そのときには気づかなかったのですが、この疑問への答えになりそうな箇所がありました。
ただし、当該事象について、遅延の原因となった個々の対応時間の特定が困難な場合には、
当該事象に遭遇した勤務を含めた実際の拘束時間や運転時間
-運行計画上の拘束時間や運転時間
=当該事象への対応時間
として、一勤務を通じた当該事象への対応時間を算出することも可能です。
(「改善基準告示(令和6年4月1日適用)に関するQ&A」「3-18」 PDF 37ページ)
フェリーの代わりに陸路で移動する場合は、運行計画上の経路と実際の運行の経路が分かれる点があり、そして分岐した2つの経路が再び合流する点があります。
この2つの点のあいだの「運行計画上の拘束時間や運転時間」を取り出すことが出来れば、ここに書かれた要領で「当該事象への対応時間」を算出することができますね。
以上、おわびとともに訂正させていただきます。
* * *
上記の内容とはあまり関係ありませんが、「Q&A」のこの続きの箇所にちょっと気になることが書かれているので、これも取り上げておきましょう。
この場合には、上記①~④の「予期し得ない事象の発生を特定できる客観的な資料」が必要ですが、やむを得ず客観的な記録が得られない場合には、「運転日報上の記録」に加え、当該事象によって生じた遅延に係る具体的な状況をできる限り詳しく運転日報に記載しておく必要があります。例えば「予期し得ない事象」が運転中の災害や事故に伴う道路渋滞に巻き込まれた区間や走行の時間帯等を運転日報に記載しておく必要があります。
(「改善基準告示(令和6年4月1日適用)に関するQ&A」「3-18」 PDF 37ページ)
第27回 予期し得ない事象への対応時間 その2 で、「予期し得ない事象への対応時間」として認められるには「客観的な記録」が必要であり、「客観的な記録」は
⑴ 運転日報上の記録
⑵ 予期し得ない事象の発生を特定できる客観的な資料
⑵ 予期し得ない事象の発生を特定できる客観的な資料
の2つが揃うことで成立する、と書きました。
引用した箇所に書かれているのは、このうちの ⑵ がやむを得ず欠けてしまった場合のことです。
その場合には、代わりに具体的な状況をできる限り詳しく運転日報に記載しておく必要がある、というのです。
「必要がある」というのは微妙な表現ですね。
それさえやっておけば ⑵ の代わりになるよ、 OKだよ、と書かれているわけではありません。
⑵ の代わりにならなければ、「予期し得ない事象への対応時間」とは認められず、1日の拘束時間等から除くことができません。
でも、なんとなく期待を持たせるような書き方ではあります。
保存前にホームページの渋滞情報が消えてしまった、などの事情で ⑵ を確保できなかった場合は、なかば期待を込めて、具体的な状況をできる限り詳しく運転日報に記載しておくようにしましょう。
実際に ⑵ の代わりとして認めてもらえるかは保証の限りではありませんが。