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新改善基準の話・第9回 1ヵ月と1年の拘束時間 その2

労使協定を結ぶことにより、1ヵ月および1年の拘束時間の上限を延長できます。
延長した場合の拘束時間上限は次のとおりです。
  1ヵ月の拘束時間上限[延長] 310時間

  1年の拘束時間上限[延長]  3,400時間
「原則」の場合とくらべて1ヵ月で26時間、1年で100時間上乗せできます。
忘れずに労使協定を結んでおきましょう。
拘束時間上限の延長に必要な手続きは労使協定だけですが、運用には次の3つのルールがあります。

 ⑴ 1年に延長できるのは6ヵ月まで

 ⑵ 連続で延長できるのは3ヵ月まで

 ⑶ 1ヵ月の時間外労働と休日労働の合計が100時間未満となるよう努める
どれも毎月のチェックが必要になります(「サク太郎」新バージョンで対応予定)。
⑴ で注意したいのは、このルールさえ守っていれば1年の拘束時間の上限も自動的に守れる、というわけではないこと。
⑴ にしたがって1年のうち6ヵ月は拘束時間を延長して310時間、残りの6ヵ月は「原則」どおり284時間として計算すると
 (310時間 × 6ヵ月)+(284時間 × 6ヵ月)= 3,564時間
となり、1年の上限(3,400時間)を超えてしまいます。
⑶ もくせ者です。
「物流の2024年問題」で注目されている「時間外労働の上限規制」は、年間の時間外労働の上限を960時間とするものですが、その対象は文字どおり「時間外労働」だけで「休日労働」はノーマーク、一種の逃げ道になっています。
ところが、この ⑶ の条件は時間外労働も休日労働もひっくるめてカウントせよというもので、逃げ道をふさぐ形です。
1ヵ月の時間外労働を80時間(=960時間÷12か月)と仮定すると、休日労働は20時間未満に収めなければならない、ということになります。
ただし、これは努力義務(「となるよう努める」)なので、守れていなくてもただちにペナルティがあるわけではありません。
労基署からの指導はあるかもしれませんが。