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新改善基準の話・第14回 休息期間 その1

「休憩時間」と「休息期間」はまったく別物です。
ごっちゃになっている人もたまにいるので、まず基本のおさらいから。
「休憩時間」は勤務中に取るものですが、「休息期間」は勤務と次の勤務の間の時間です。
働き方改革で近年注目されるようになった「勤務間インターバル」が、改善基準では何十年も前から「休息期間」として取り入れられているのです。
運送業界が労働基準分野の最先端とは、ちょっと意外ですが。
拘束時間、休息期間、労働時間、休憩時間の関係をわかりやすくまとめた図があるので、それを載せておきます(「トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント」(新改善基準バージョン)4ページより)。

さて、この休息期間ですが、地味なイメージで素通りされがちです。
いわば拘束時間の残り物なので、そうなるのも不思議はありません。
でも、拘束時間とは別の独立した1項目であり、しかも毎日発生するものですから、素通りするわけにはいきません。
そして、注目する人は多くないけど、避けて通れない問題が1つあるんです。
それは「1日の休息期間をカウントする範囲はどこからどこまでか?」という問題です。
新改善基準だけでなく現改善基準にも共通するこの問題を、今回は取り上げたいと思います。
前回、1日の拘束時間の「1日」の範囲は「始業から24時間後まで」と説明しました。
これははっきりしています。
それに対して休息期間をカウントする範囲はわかりにくいのです。
次の2つの説があります。

 A説 始業から24時間後まで

 B説 始業から24時間後の休息期間が終了するまで(24時間後が休息期間でない場合はそこまで)
例を挙げて考えてみましょう。
月曜日の1時に始業し、16時の終業までがずっと拘束時間、そして次の始業が翌火曜日の5時だとします。
このとき、月曜日の拘束時間は15時間ですが、休息期間は何時間になるでしょうか?
A説なら月曜16時から火曜1時までの9時間、
B説だと月曜16時から火曜5時までの13時間です。
全然違いますね。
実は、デジタコソフトの労務管理機能でも、2大メーカーで考え方が分かれています。
現時点ではF社はA説、Y社はおおむねB説を採用しています。
で、どっちが正しいのか?
みなさんおなじみの現行版「トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント」を見てみましょう(上で図を引用した新改善基準バージョンではなく、現改善基準バージョン(令和4年2月版)です)。
まず、2ページの最後の段落にはこう書かれています。

拘束時間と休息期間は表裏一体のものであり、 1 日とは始業時刻から起算して24時間をいいますので、結局、 1 日(24時間)=拘束時間(16時間以内)+休息期間( 8 時間以上)となります(図 2 参照)。

「拘束時間と休息期間は表裏一体」
「1 日(24時間)=拘束時間(16時間以内)+休息期間( 8 時間以上)」
・・・これはもうあきらかにA説ですね。
次にページをめくって3ページの(図2)を見てみましょう。

上からの3つ目の帯グラフをごらんください。
8時始業で翌日9時までの休息期間がカウントされています。
・・・B説です。
あれ?
ますますわからなくなっちゃいました。
もったいつけるようで申し訳ないのですが、長くなったので答えは次回に持ち越します。
どうぞお楽しみに。