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新改善基準の話・第19回 運転時間 その1

運転時間のルールは現改善基準から変更ありません。
 2日平均1日あたり  9時間以下

 2週平均1週あたり  44時間以下
というもので、2日平均1日の運転時間と2週平均1週の運転時間の両方のチェックが必要です。
この「運転時間」という項目なんですが、もともと地味なうえに現改善基準からの変更もなく、あまりおもしろみがないんです。
そこで、今回はそのチェック方法について、ちょっとマニアックな(知ってても役に立たない)ネタも入れつつご紹介しようと思います。
マニアックなネタとは、改善基準告示(以下「告示」)と改善基準通達(以下「通達」)では2日平均1日あたりの運転時間のチェック方法がちがう、ということです。
その前にまず、問題がない2週平均1週あたりの運転時間のチェック方法を見ておきましょう。
起算日を決めてそこから2週間ずつに区切り、その各2週間の中で1週平均を計算します。
2週平均で1週44時間以下ということは、2週合計で88時間以下というのと同じことですね。
さて、問題の2日平均1日あたりの運転時間のチェック方法です。
「告示」には

運転時間は、二日(始業時刻から起算して四十八時間をいう。)を平均し一日当たり九時間、二週間を平均し一週間当たり四十四時間を超えないものとすること。(「新改善基準告示」第四条の1の六)

と書かれています。
これによると、2日平均1日の運転時間の計算も、上記2週平均1週の運転時間とやり方は同じです。
起算日から2日ずつに区切ったそれぞれの内部の平均を計算して9時間を超えていないかチェックするわけです。
他方、「通達」には

2日を平均し1日当たりの運転時間の算定に当たっては、特定の日を起算日として2日ごとに区切り、その2日間の平均とすることが望ましいが、特定日の最大運転時間が改善基準告示に違反するか否かは、次により判断するものであること。(「新改善基準通達」第2の4の⑷)

と書かれています。
「告示」に書かれている方法が本当は「望ましい」んだけど、実際にはちがうやり方で判断するからね、ということです。
実際の判断の方法というのは次のようなものです。
運行があったそれぞれの日を「特定日」として、特定日と前日との運転時間平均値、特定日と翌日との運転時間平均値をそれぞれ計算します。
この2つの平均値がどちらとも9時間を超えた場合が ✕ 、2つの値のうちのどちらか一方でも9時間を超えていなければ 〇 になります。
この方法には「起算日」は無くて、運行があるすべての日を「特定日」として1日1日をチェックしていくことになります。
こんなふうに、「通達」は上役である「告示」が指示したことにしたがわずにオレ流でやる、と言ってるわけです。
法律や役所の事情には詳しくありませんが、こんなこともあるんですね。
なぜこういうことになったかというと、たぶん「告示」のやり方だときびしすぎるからでしょう。
「告示」の方法だと1つの平均値が9時間超で即 ✕ です。
「通達」の方法では2つの平均値のどちらか片方だけでも9時間以下なら OK なので、運送会社にとってはこっちの方がずっと守りやすくなります。
現場のことがわかってない上司(「告示」)に内緒で現場責任者(「通達」)がこっそり融通をきかせた、という感じでしょうか。