❹ フェリー乗船時間が「8時間」を超えた場合、フェリー下船時刻を次の勤務日開始時刻とする(2人乗務の場合は「4時間」、隔日勤務の場合は「2時間」)。
これ、このままだと問題が発生してしまいます。
従来の改善基準では必要な休息期間は継続8時間以上でしたが、新改善基準ではそれが長距離運送の場合を除いて継続9時間以上に延長されたからです。
フェリー乗船時間が8時間超9時間未満の場合、フェリー下船時刻が次の勤務開始時刻だとすると当の勤務日はそこで終わりなので、必要な休息期間9時間を確保することができません。
フェリー乗船時間がたまたまその長さだったというだけで、強制的に改善基準の休息期間項目の未遵守が発生してしまうのです。
改善基準の条文を作っている人たちはたぶんこのことを見落としていて、あとから気づいたのでしょう。
新改善基準告示・通達よりも後で出された「Q&A」「3-26」にこんなことが書かれています。
(A)施行通達記第2の4(8)エにより、トラック運転者については、フェリーの乗船時間が8時間(2人乗務の場合には4時間、隔日勤務の場合には 20 時間)を超える場合には、「原則としてフェリー下船時刻から次の勤務が開始される」とされていますが、例えばフェリー乗船時間が8時間である場合、通常、これを休息期間(下限9時間)から減算しても1時間が残るため、別途1時間以上の休息期間を確保した上で、その休息期間が終了した時点で、次の勤務が開始されることになります。(「改善基準告示(令和6年4月1日適用)に関するQ&A」「3-26」 PDF 40ページ)
休息期間は継続3時間以上と決まっているのだから、ここでの「1時間以上の休息期間」に「3時間未満でも休息期間と認める」などという含意はない。「1時間以上かつ休息期間の条件(継続3時間以上)を満たす期間」という意味であり、実質的には「3時間以上の休息期間」ということになる。