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新改善基準の話・第45回 フェリー乗船の特例 その5

このブログの 第40回 フェリー乗船の特例 その4 で宿題になっていた問題について、静岡労働局から回答がありました。

今回はそのご報告です。

まずは問題のおさらいから。

現改善基準から新改善基準にそのまま引き継がれるルールに

(A)フェリー乗船時間が8時間を超える場合は、原則としてフェリー下船時刻から次の勤務が開始される

があります。


その一方で、新改善基準では

(B)1日の必要休息期間は継続9時間以上(長距離運送以外の場合)

になりました(現改善基準では8時間以上)。

「8時間」と「9時間」、現改善基準には無く新改善基準で生じたこの1時間の差が、問題の発端です。


(A)(B)をそのまま適用すると、フェリー乗船時間がたまたま8時間超9時間未満だった場合、1日に必要な休息期間を満たす前に次の勤務が始まります。


つまり、必要な休息期間を取得できないまま1日が終わってしまうのです。

そこで、そういうケースでは(A)を修正し、不足分を補うために、フェリー下船後に取る休息期間が終了した時点で次の勤務が開始される、というルールが追加されました(「改善基準告示(令和6年4月1日適用)に関するQ&A」「3-26」 PDF 40ページ)。

(A’)フェリー乗船時間が8時間超9時間未満の場合は、9時間の必要休息期間への不足分を補うフェリー下船後休息期間が終了した時刻から次の勤務が開始される

ここで問題です。

この場合のフェリー下船後の休息期間に必要な長さとして、次のどちらが正しいのでしょうか?

❶ 必要な9時間に不足する長さ(1日の必要休息期間とフェリー乗船休息時間の差)だけあればよい

❷ 分割休息は3時間以上という制限があるので、最低3時間は必要になる

静岡労働局から届いた回答は「❶ が正しい」というものでした。

理由は、「3時間以上」という制限は分割休息の場合の話で、不足を補うこの休息は分割休息でなくてフェリー休息だから、ということです。

フェリー休息だとすると「3時間以上」の制限は無いので、❶ が正しいとするのは理解できます。

ただ、この休息はフェリー休息の不足分を補うものではありますが、フェリー下船後に取るものなので、それを当然のようにフェリー休息として扱うことにはちょっと疑問を感じてしまいます。

そういう疑問はともかく、この問題については ❶ が正しいという結論が示されました。