「うちはツーマン運行無いからね~」とお客様から不評をいただいている2人乗務の特例シリーズ、ついに「その3」に突入してしまいました。
現行改善基準にある「1階」、新改善基準で付け加えられた「2階」と説明してきて、今回は「屋根裏部屋」です。
「2階」の条件にプラスアルファの条件も満たすことによって、最大拘束時間をもっと延ばすことができます。
内容は次のとおりです。
最大拘束時間 28時間
休息期間 4時間以上 (「1階部分」と同じ)
休息期間は変わりません。
最大拘束時間は「1階」で20時間、「2階」で24時間だったところ、28時間まで延長されます。
そのための条件は、「2階」が満たすべき2条件(車両内ベッド設備と一の運行終了後継続11時間以上休息。詳しくは前回記事)に加えて
8時間以上の仮眠時間を与えること
です。
なお、この8時間以上の仮眠時間は分割することができます(「Q&A」「3-24」 PDF 39ページ)。
2人乗務の「屋根裏部屋」の特例そのものの説明は以上です。
* * *
さて、「仮眠時間」ってひさしぶりに見る用語ですね。
改善基準マニアの方なら、この用語が拘束時間を定義する箇所に登場することはご存じでしょう。
拘束時間とは、労働時間と休憩時間(仮眠時間を含む。以下同じ。)の合計時間、すなわち、始業時刻から終業時刻までの使用者に拘束される全ての時間をいうものであること。
(新改善基準通達 第2の1の⑷のア PDF 6ページ)
これは新改善基準通達からの引用ですが、「休憩時間(仮眠時間を含む。)」という言い回しは現改善基準にもあるおなじみのものです(「143号通達」第2の2の(1)のイ PDF 3ページ)。
次のようにも書かれています。
休息期間とは、(途中略)その処分が労働者の全く自由な判断に委ねられる時間であり、休憩時間や仮眠時間等とは本質的に異なる性格を有するものであること。
(新改善基準通達 第2の1の⑷のイ PDF 7ページ)
これを読んでも、「仮眠時間」の中身はぜんぜんわかりません。
特に、「仮眠時間」と「休息期間」がどう区別されるのかがいまひとつ具体的にイメージできず、もやもやが残ります(わたしはずっともやもやしていました)。
2人乗務の「屋根裏部屋」のケースは、この「仮眠時間」と「休息期間」のちがいを明確にし、もやもやを晴らしてくれるわかりやすい例になっているように思います。
2人乗務の場合、自分は運転せず車内ベッドで寝ている時間であっても、車両が走行している限り降りて好き勝手にふるまうことはできません。
そういう意味で「その処分が労働者の全く自由な判断に委ねられる時間」とは言えないわけです。
だから、そんな時間をどれだけ積み重ねても(それが継続3時間以上になろうと継続9時間以上になろうと)「休息期間」にはなりません。
そういう時間を「仮眠時間」と呼んでいるのでしょう。
それに対して「休息期間」は、「その処分が労働者の全く自由な判断に委ねられる時間」である以上、すくなくとも車両は停止した状態でなければならないということですね。